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2013年11月

フランスで高まる自然栽培への評価(フランス パリ郊外)

パウロ・小山さんの農場はパリから南に車で1時間ほど走った場所「ソワジー・シェル・エコール」という名前の場所。高速道路を経てなだらかな丘陵をいくか超えたところであり、大都会パリからたった1時間でも豊かな自然と数百年建っている建造物と生活の歴史を感じる町並みが広がっている。またここは放牧、田園地帯であり、フランスが自給率200%の農業大国、食糧大国であることを思い出させる。
遠くブラジルからここ「ソワジー・シェル・エコール」に渡ってきたパウロさんは、ブラジル生まれの日系ブラジル人だ。幼いときから農業者を目指し、サンパウロの農業大学を卒業してから当時貧困地帯であったブラジル北部に農業を広めよう、豊かさを広めようと大志を描いていた。自然栽培の可能性について学ぶことがあった。そのオリジナルは遠く1920年代にドイツに提唱者がいたが、1970年代にはフランス発信で、よりエコで健康的で本質的な農業の考えとしてブラジルに届けられた。その頃からパウロさんは強い興味を持っていたが、実施にはまだ至らなかった。その後日本から有用微生物を使っての農業技術が伝えられパウロさんとその仲間による大いなる努力で、ブラジルで最も安全で環境負荷のない、エコでおいしい農業畜産生産が始まり、ブラジルはもとより北米や日本からも注文が入るようになった。そんな折、パウロさんにフランスでの農業指導の話しが舞い込み、18年前に渡仏することになった。
2015628181358.jpgパウロさんはここフランスで思い切って自然農法を試みる。勇気がいった決断だった。なぜなら肥料を入れる有機栽培とは難しさが違う。自然の本来の力だけでちゃんと育つかというと、それは大変な冒険なのだ。永年有用微生物を活用しての堆肥作りから有機農業に専念してきたが、実はこの10年は堆肥も入れていない。つまり何も足さない「自然農法」に切り替えた。ただ行うことは作物を収穫してから根から下の深く根を張った土地をあまり深く耕さないこと。この作業の意味は好気性菌と嫌気性菌を混ぜないことだそうだ。毎年毎年この作業を10年繰り返してきた。畑の中に足を踏み入れたがふわふわ、ふかふかである。
また若葉の頃を除いては作物の周りの雑草も取らないことだそうだ。上の写真でも大根畑の中に雑草が生えているが、大根の生育を邪魔するほどその雑草は悪さをしない。「何も問題ないよ。少しぐらい草が生えていても大丈夫だ。必要だから生えているのだよ」とパウロさん。土に養分を与え、より完璧な土になるためには草も必要であるという。
2015628181549.jpg2015628181636.jpgこの農場KOORINには遠くはブラジルから、もちろんフランスからも研修生が集まる。給料ももらいながら勉強したあとは、みんな自然栽培に突き進む。有機農業の有機肥料といえども、それは土に何かを足す農法、土に不足分があるから物理的に外から入れるという考えであるが、自然栽培にはこの足し算の考え自体がない。自然のそのままの力を利用して、野菜やハーブをその力を十分に発揮させて育てるのである。
この夏公開された日本映画に『奇跡のリンゴ』がある。パリ行きの機内で初めて見たが泣けた。実話の主人公、木村秋則さんも約10年かけて無農薬リンゴを完成させるまでには苦闘の連続だった。人間の力もすごいが自然の力もすごい。自然本来の姿に人間もリンゴも戻れるのであると再認識した。
その本来の力を信じて世界中からこのパリ郊外の農場に人が集まる。本当の答えは自然の中にあるのだと信じている若者がパウロさんの後を歩いていた。
パウロさんは言う。自然をよく観察することだと。「土作りが大切という人がいるけれど、人間は土など作れない。土にいろんな物を入れて土がおかしくなった。われわれ人間はその土を自然の状態に戻すだけなのだ。その自然をよく観察することだよ。土がわれわれを育てているのだ」「そのためにはほっといてもダメ、手をかけすぎてもダメ。自然を観察して人間が何をすべきか土に聞くことだ』 映画「奇跡のリンゴ」もこのような考えだと思う。
 
ハウスのキュウリ畑を見せていただいた。するとそこにはおかしな光景が広がっていた。
2015628181736.jpg向かって右側のキュウリのほとんどが枯れて既に実も落ちていた。背丈も低い。ところが左側はまだ青々として未だにキュウリが弦にぶら下がっている。同じ時に播種した同じ自然栽培の土なのにどうしてか?という疑問にパウロさんが答えてくれた。
右は今年買った種、左は種取りして4年目の種から摂った自然栽培キュウリと言うことだった。
またトマト畑を廻ってみる。外気温1桁の外気から守られているとはいえ暖房を入れていないハウスの中、この時期にトマトがある。聞いてみるとこれも自家採取4年目の種から出来た自然栽培のトマトである。まさに鈴なりである。この季節にいまだ鈴なりなのである。
2015628181835.jpgこのトマトのストーリーはこうだ。まず有機の種の中で美味しいF1種のトマトを植えてみる。そして枯れた萎れたトマトから種を摂る。そしてその種を翌年に蒔き、その中でおいしいもの、形の良い物、量の多く採れる枝からまた種を採る。それをくりかえした4代目がこの写真のトマトである。段々と種はこの気候と土になれていく、そして人間が選抜していく。そのトマトと人間が気候と土に慣れさせていくに従い、本来の味を発揮していくという結論がこのトマトであるという。食べてみると実に旨い。この評価は後述するが、これのおいしさにパリジャン、パリジェンヌ、卸売市場はめっぽう参っているのである。
 F1種という人工の掛け合わせで作られた種は、この様に人間の力で再び自然に戻り、また土と気候に純化して命を輝かせる。このトマトやキュウリを見て、いままでのパウロさん達の苦労も忍ばれるが、自然栽培を進めてきた人間と自然のハーモニーのすごさを感じた。
種の力を引き出すのは人間と自然だ。種に人が水を与えないと発芽しない、人間が自然の力の偉大さを知り、種を知り、土に教われば本来の野菜のおいしさ、健康さを享受できる。自然栽培は人間の役割とは何か、土を知る、種を知る絶好の機会であると深く感じた。

昨年パウロさんはポルトガルのイダニャアレバー市からの招聘を受け、来年から当市で自然栽培を60ヘクタールで展開する。イダニャアレバー市の副市長がパウロさんの活動を聞きつけ直談判した。来年の秋からは彼はポルトガルの人となる。ポルトガルの経済が低迷して長いが、農薬や化学肥料、比較的安全と思われている有機肥料も使わず、市を挙げて自然栽培を実践する。目先や見かけの経済よりも永続する未来、健康と安全とおいしさの未来を選択するのであろう。物事はどんどん本質的なところに突き進んでいる。こんな動きのひとつひとつが確実に世界を変えている。パウロさんは日本人の血が流れる偉大な種蒔く人であった。

フランスの有機野菜事情(フランス、パリ郊外卸売市場)

東京築地市場の数倍はあろうかという卸売市場の中で、生鮮を中心に市場を廻ってみた。
お供いただくのは後ほどご紹介を詳しくするが、日系人のパウロ・小山さん。このフランス・パリに来て18年、農場で有機野菜、自然栽培野菜を作ってこの市場に出荷されている。パウロさんの農場「KOORIN」が作る野菜は市場関係者からも信頼が厚く、各問屋を同行して廻らせていただいたが、彼自身の評価も野菜と共に高いことを気づかされた。パウロさんが来られた頃はまた有機野菜の市場も小さく、農家も問屋も小売店も育っていなかったという。しかし今は一2015628184355.jpg大産業に成長しており、問屋もそのトラックも大きくなったことにパウロさんも喜びを隠せない。
このフランス全土の食生活はご存じの通り、世界一と自負する。舌の肥えたグルメ・グルマンを唸らす食物はその生産者と流通関係者が支えている。そこの市場での大きな評価ポイントはまず第一に味である。そして有機食品への期待として何が一番かと尋ねると、それは何はなくとも「味」なのである。日本では「安全性」と答えるであろう、そしてアメリカでは「ヘルシー」と答えるであろう期待を大いに裏切られた。野菜、果物が元気で育って、農薬や肥料の毒が入っていなければ、そして本来の食の原点である野菜は旨いに決まっているし、実際にそれがフランスの市場評価である。また念のために付け加えるが有機野菜は有機の種から作るのが大原則である。もし有機と書いてあって種が有機と違っていたらこれは重大なルール違反である。販売が一切出来なくなる。

問屋に並べられたいろんな野菜果物をつまんで食べてみるが、そのおいしさに言葉をなくす。もちろん今回食べたのはBIO(ビオ)と呼ばれる有機野菜、有機果物である。しかし、本当に旨いのである。また近年はフランスの地場もの、出来れば近郊ものが好まれる傾向にあるという。それは燃料費や人件費、地球を壊しかねない不必要な時間とコストをかけることよりは、なんと言っても地産地消なのである。この傾向はアメリカでも顕著になってきているが、フランス人はとにかく一度決心したら、一度判ったら誰が、どこの国が文句を言おうが異論を唱えようが、一度判ったら突き進むのが頑固なフランス人なのだと聞かされた。
2015628184429.jpgこのBIOという食の安全にも関係する有機の流れの加速化は、10年前に起こったBSE問題がすべての発端という。目の前に食べ物はあるが、それが見た目は大丈夫だが、食べられないという現実をヨーロッパの人々は経験したからである。
  それ以降農薬の使用についても新に厳しいルールが定められた。そのため農薬は便利だが、環境を壊し、人間の体を蝕むのだと言うことが国民一致した意見として認識されている。蜂がいなくなったのは農薬という毒をまいたからだとしっかりと国民は認識している。日本でそんなことを言うことはタブーであるし、メディアは伝えない。ここではちゃんと伝えるのがメディアなのである。しかしそんな国やメディアについてもインテリ始め、ほとんどの人が完全なる信用はしていない。新聞に至っては日本の半分以下の信用度しかない。それは日本の新聞が信頼されているという意味ではなく、『メディアとは権力に阿り、企業からのPR費というお金で成り立っている私企業である』という正常な理解が半分の信頼度にとどめているという理由である。きわめて大人の国である。当たり前の話が通じるところなのである。
そのフランス人の意識が功を奏して、市場関係者の意見ではあるが、『約2割~3割の野菜果実は有機栽培ものが流通している』とのことであった。そして近年はその勢いは増しているということであった。

市場から移動して世界的に広がる量販店『カルフール』を見てきたが、BIOと呼ばれる有機の売り場がしっかりしていた。その売り場全体での割合は有機が2割、慣行栽培が8割というところだろうか。
201562818465.jpg雑貨、家庭用品のBIO売り場も充実していた。安い物を大量に売ることを目的とした量販店でもこのレベルに達しているのは、国民がよく理解しているという事を如実に示す良い証拠だと思う。味が良く、安全が高く、健康に寄与するものが有機食品であるという当たり前のことがこの国では定着している。そしてアメリカ同様にその価格はどんどん安くなってきている。そのことがお客を増やし、売り場を増やし、農地はどんどん有機に生まれ変わるという善循環が起きているという。

カルフールの後はショッピングセンター内にある自然食品店によってみたが、品揃えが豊富であることに驚かされる。肉の売り場や魚の売り場もBIOである。
2015628184643.jpg肉のBIOの意味は有機の餌で育てたという意味であり、魚のBIOとは天然物、もしくは養殖でもその餌はすべて有機の餌で育てたと言うことである。特筆すべきは客層がすべての世代を網羅していること。日本では大まかに言うと、妊婦さんを軸に1つ(妊娠前と子育て)、団塊の世代を軸に1つあるだけであるが、ここではすべてのジェネレーションが有機を求めるのである。また店員がかっこいいし美人が多いという印象がある。つまりクールでいかす仕事なのである。社会のいまと未来を考えてすべての世代が味と安心と健康で繋がる、これがこのフランスの有機市場であろう。まさに有機的に繋がっているのである。

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