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日本の現状、世界の現状

「オーガニック」日本の現状、世界の現状

世界最大の「食糧輸入国」は有機の後進国

世界最大の「食糧輸入国」は有機の後進国近年、日本国内で家畜疾病や食品偽装、輸入食品からの農薬検出や農薬の混入など、食の安全・安心を脅かす事件・事故が続発しています。同時に国民の環境に対する意識の向上と合わせて、消費者の食の安心・安全への関心も高まっています。しかし、日本の食糧自給率はカロリーベースで約40%市かありません。その中には90%以上自給している米も含まれていますから、その他の野菜などは40%よりはるかに少ないということになります。残りの60%を輸入農産物に頼る日本は、世界最大の「食糧輸入国」なのです。

では、それらの農産物の栽培に必要な種子の自給率はどの程度あるのでしょうか。種子は栽培された農産物以上にはありませんから、米を含めても最大40%。そのうちの自給しているものは、お米こそ100%ですが、大豆で5%、野菜で14%程度といわれています。販売されている種子の袋に記載された生産地を確認してみれば、その多くが海外に依存し、種子の自給率は想像できないほど低いのが判ります。

また、07年3月末時点で、有機JAS認定を受けた有機栽培の割合はわずか0.16%。食の安全が叫ばれ、多くの消費者が農薬や化学肥料に疑問を持っているにも関わらず、有機栽培の普及は遅々として進んでいません。農業分野でさまざまな環境保全型農業政策を推進し、町中のどこでも普通に有機農産物が買える欧米各国と比べ、国内に有機農産物市場はほとんどなく、スーパーで有機野菜を普通に買うことも出来ません。日本農林規格(JAS)有機野菜の認知度は、農水省が平成20年度に実施した消費者調査では、「有機JASマーク」を知らないと答えた者56.1%、「知っているが意味は分からない」が34.8%、「内容も理解している」者はわずか9.3%しかいませんでした。しかも、本来の「有機JAS野菜」以外に「特別栽培農産物」「環境配慮農産物」「減農薬・減化学肥料栽培」などさまざまな呼称があふれ、消費者だけでなく生産者までが有機とはとても呼べないような農産物を有機農産物と間違って理解しているなど、多くの混乱があるのです。

日本の有機認証は抜け道だらけ

日本の有機認証は抜け道だらけ栽培された農産物ですら、有機か非有機かあいまいな有様ですから、「種子」に至っては「有機の種子」であるかどうかを問われることはほとんどありません。しかし、グローバル化の波は「食」や「農」の分野にも及び、WTO やFTA による農業自由化や市場原理の導入も予想され、当然有機認証された農産物であるかどうかが問われることになります。「種子」から「堆肥」「栽培管理」「ポストハーベスト」まで完全な有機であることが必要なEUやアメリカとの交渉において、日本が「同等性」を認めている国は20カ国(そのうちEUは15カ国)ありますが、「正式な承認」を原則とする各国は、日本を正式に承認していません。日本のJASマークは世界では有機農産物と認めてもらえないのが現状です。

その大きな原因は農林規格の種子や堆肥の完全有機規定の抜け道にあります。日本農林規格では「ほ場には種する種子又は植え付ける苗等」として「①有機栽培を行った種子又は苗であること」とされていますが、日本ではこれに該当する種子がないために「②、①の種子又は苗が入手困難な場合は使用禁止資材を使用することなく生産された物、これも入手困難な場合は一般に入手できる種子又はもっとも若齢な苗であること」と、市販の化学処理された種子でも良しとされています。また、畜産堆肥においても、合成飼料や薬品を投与された家畜の糞尿の使用を禁止した欧米各国に対し、日本の規格では堆肥や飼料まで言及していません。こんな状況では欧米各国で認めてもらえないのも当然です。しかも、一般的な種子の国内自給率さえ低いのに、有機農法で栽培された完全なオーガニック種子となると、有機農業先進国においてさえ供給不足の傾向にあります。今後の農業自由化を前に、オーガニック種子の不足は多くの有機農家にとって苦しい問題になりかねません。着々とオーガニック農産物の栽培・販売を拡大し、有機農業を含む環境保全型農業を進める海外の国々と較べ、我が国の立ち遅れは歴然としています。

オーガニックが「普通の」欧米各国

オーガニックが「普通の」欧米各国一方、海外に眼を向ければ、日本だけが特殊な事情であることが分ります。環境の保護の必要性にいち早く気付き、健康志向も高い欧米では、食を原点ともしています。口から入った食物が血となり肉となり骨となることを良く理解し、おのずとどのようなものを口にすればいいかを知っているのが欧米の自然食の愛好家です。 アメリカにオーガニックスーパーの「ホールフーズ(Whole Foods)」と言う大規模なチェーン店があります。このチェーン店はちょっとした都市であれば、どこにでもある「普通のオーガニックスーパー」です。日本にはまともなオーガニックスーパーすらないのに、驚くべきことに、年間売り上げ高は約7000億円にも上っています。このスーパーの目玉商品は、当然ながら毎日、近郊の農家から届けられるオーガニック野菜です。それを普通に安心して食べる為に買い、そのおいしさを普通に味わうことを生活の基礎としている普通の人々がたくさんいます。おいしく、健康的で、体に良い食べ物には人生を充実したものに変える力があることを多くのアメリカの人たちは知っています。そんなライフスタイルを持つ人が近年ますます増え、最近ではGMSと呼ばれる量販店の食品売り場でも、近所の食品スーパーでも、オーガニック野菜を販売する事が「普通に」なってきています。

またイギリスのロンドンでも駅の近くの小型スーパーでさえ、オーガニック野菜を販売する事が「普通に」なっています。日曜日の晴れた日には各地でファーマーズマーケットが開催されます。

ファーマーズマーケット近郊の農家の人たちが直接自慢の野菜、肉、パンなどを並べて売る、日本で言えば産直市場ですが、その市場でも多くの人たちの支持を集めているはオーガニック食品です。彼らが売る牛肉もその飼料はオーガニックであり、育て方も薬剤やホルモン剤を一切使用しないと言う徹底ぶりです。もちろんその飼料の種子さえもオーガニックであり、生命の根幹から徹頭徹尾、安心・安全とおいしさを届ける努力をしています。 イギリスのファーマーズマーケットでは有機の種子や苗が「普通に」売られています。これらは日本でも多くの愛好家がいる家庭菜園向けですが、ガーデニングの国イギリスでは都市部を走る電車の窓からも、各家庭で野菜のガーデニングを楽しんでいる姿を良く見かけます。日本ではガーデニングといえば庭の花壇や植木を連想しますが、イギリスでは菜園も意味します。小さな裏庭の小さな畑から可愛い野菜が顔を出す姿は、まさに生命を育むガーデニングと言えます。

そんな人たちに「種はオーガニックですか?」と聞けば恐らくきょとんとされるでしょう。欧米ではオーガニックの種子からでなければ、オーガニックの野菜も加工食品も、オーガニックの牛もこの世に存在し得ないのです。それが欧米の生命の基本なのです。

日本が「普通に」なるために

IFOAM(国際有機農業運動連盟)が2003年に主要国の耕地面積に占める有機栽培面積の割合を調査したところ、オーストラリア11.3%、スイス9.7%、イタリア7.9%、イギリス4%、アメリカ0.5%、それに対し日本はわずか0.1%。現在は各国とも発表データよりも増えていることが予想されますが、日本の有機栽培面積の少なさが目立ちます。その3年後の2006年に農水省が行なった調査では0.16%となっていますので、概ね正しいデータでしょう。アメリカも0.5%と一見少ないようですが、農業の形態の違いと圧倒的な面積の広さを考えれば、日本の比ではないこともわかります。「オーガニック」に対する関心と意識の差を乗り越えて、日本の農業が欧米に追いつくためにも、有機種子の普及が欠かせないと私たちは考えています。「オーガニック」が、この日本で「普通に」なるために・・・

自由貿易協定と有機農産物

FTA、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめとした、自由貿易協定を各国が結ぼうとし、日本政府も自由貿易が日本の成長の鍵と考え積極的に協定を結ぼうとしています。協定の目的は、農産物も含めたあらゆる物とサービスの各国間取引の障壁をなくそうというものです。輸出入においては関税をなくすことが目標です。その是非は立場によっても異なりますが、間違いなく農産物の世界的な競争が始まりますが、価格競争になれば途上国や大規模農業の米国の安い農産物が流れ込んでくることとなり、日本の農産物は競争力を失うこととなります。日本の農業が生き残るには、付加価値の高い農産物や安心で安全な農産物の生産を目指すしかありませんが、日本のお寒い限りの農政では多くが期待できませんし、国際的に認められていない日本の有機農産物では国際競争力がありません。海外で通用する、安心で安全な有機農産物を栽培するためには、JASで定められた有機栽培の規定を守るだけではなく、完全な有機種子を用い、完全な有機堆肥を使用し、種子から栽培・管理まで完全に有機であることが必要です。
 

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